2009年5月9日空檜コンサート
第9回 空檜コンサート『時空を超えて』
時空を超えて ~脈打つ拍動、色めくリズム~
■日時 平成19年12月12日(水)
■白井朝香のひと言ナビ
点と線-叩くという最もプリミティヴな奏法から生まれるパーカッション(打楽器)のリズムと、流麗なラインを描くヴァイオリンの旋律。一見、相容れない組み合わせのコラボレーションは、広島では初めての試みです。
今回は、パーカッションの中でも音程を持つ木の楽器マリンバを起用し、バーンスタインのウエストサイド物語メドレー、ピアソラのタンゴなどおなじみの曲から、広島初演となるJones作曲Legal Highs(1988)、そして、空檜コンサートに監修として携わっている作曲家木原宏寿の委嘱作品Words Unspoken~ヴァイオリンとマリンバの為の~(2007)の世界初演まで。
冬の一日に、生まれたての熱い音楽を!
空檜コンサートならではの醍醐味、「新しい音の誕生」にどうぞお立ち会いください。
■コンサート後記
~委嘱作品によせて~
この度は、監修として携わっている作曲家、木原宏寿氏に第9回空檜コンサートの為に委嘱した作品を演奏しました。 木原氏は、ベルリン芸術大学で作曲を学び、世界で唯一「マイスター」という称号を取得した作曲家です。
私のトレーナーをしているよしみもあって、オリジナル作品が少ないマリンバとのデュオのために、超多忙ななか一肌脱いでくださいました。心から感謝申し上げます。
作品は、「自由な」「混沌とした」「よく解らない」(お客さまの感想にありました…)中にも、彼の人となりが随所ににじみ出たものでした。執筆中に観た前衛的なパフォーマンスの風を受けて、突然作品を1960年代の手法で書き換えたり、演奏する私の技術向上のために気を遣って(?)わざわざ苦手なテクニックを満載し、共演する荻原さんを想定し…と、本当に「今」を切り取って音符にしたようなアンソロジーですが、楽譜そのものは緻密な設計図のように「自由さ」までもが計算され尽くしています。
その作品を、音にした時に立ちのぼる響きの中に、作曲者や演奏者、それに聴いて下さる皆さんの言葉にできない真実が「音楽」として形もなく現れては消えてゆく。
~Words Unspoken~ 真実は「語られない言葉」の中にあるのです。
これを機に、より深く「音楽」を愉しむ醍醐味を感じて頂ければ幸いです。
ヴァイオリン奏者 白井朝香
【プログラム】
1.M.de.Falla/Fire Dance
2.A.Piazzola/Oblivion
3.A.Piazzola/Tango Etude
4.A.Piazzola/Escualo
5.E.Sammut/Rotations for Marimba
6.H.Kihara/Words Unspoken
7.W.Kraft/French Suite
8.D.P.Jones/Legal Highs
9.L.Bernstein/Westside Story