政府は2月14日、国民一人ひとりに番号を付けて納税記録や社会
保障情報を管理する共通番号「マイナンバー」制度を導入するための
「個人識別番号法案」である
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関
する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を閣議決定
しました。
マイナンバー制度では、2014年6月に番号を交付、2015年
1月の利用開始を目指します。番号制導入当初は年金や税などの分野
に限定するほか、個人情報の保護に配慮して行政組織などを監視する
第三者機関の設置や、情報漏えいに対する罰則を盛り込みました。政
府から独立した第三者機関「個人番号情報保護委員会」が立ち入り検
査などを行う強い制限を持つほか、情報漏えいした行政職員らに最高
で4年以下の懲役または200万円以下の罰金を科します。
番号制度は、所得や社会保障の受給実態を把握し、個人の世帯の状
況に応じた社会保障給付を実現することが目的。共通番号を設けるこ
とで、個人の所得をより正確に把握し、徴税の公平化や低所得者に絞
ったきめ細かい社会保障給付などが可能になると政府はみています。
また、消費税率引上げ時の低所得者対策として想定する「給付付き税
額控除」の実施に欠かせないインフラと位置付けています。
政府は、社会保障と税の一体改革に関連し、番号制度を消費税増税
に伴う低所得者対策に活用することも検討。番号制度を使って所得を
より正確に把握することで、低所得者に所得税を払い戻したり、給付
金を支給したりする「給付付き税額控除」の導入につなげたい考えで
す。ただ、内閣府が実施した世論調査では、8割以上が制度の内容を
「知らない」と答え、周知の低さが浮き彫りになっています。
税理士 光廣 昌史